金網床ケージ内飼育マウスによる竹筒の利用

北 徳、小郷 哲、生和幸子、○人見貞江、下村 都

川崎医科大学医用生物センター

【目 的】
近年、実験動物福祉の向上を目的とする木製や合成樹脂製の箱、筒、ドームや囓り棒などの製品が国内においても販売されるようになってきた。それらの多くは輸入品であるが、国内に豊富な植物資源である竹材を飼育環境豊饒化に活用できないか、マウスについてその可能性を検討した。

【検討材料】
マダケを用い、内径約7p、高さ約10pの底なしの筒と節を残して底とした底ありの筒を作製した。また筒壁にマウスが通り抜けられる内径2.4pの穴を3カ所開けた。作製した竹筒は高圧蒸気滅菌し、金網床ケージ内に立てて設置し、マウスによる利用状況を観察した。

【結 果】
金網床ケージで飼育しているマウスは、竹筒をケージ内に入れるとすぐに興味を示し、竹筒に上ったり、穴を通り抜けたり、囓ったり、中で眠ったりするなどの行動が観察され、活動期、非活動期ともに竹筒を良く利用することが分かった。床敷き使用ケージにおいても良く利用することが確認された。また、金網床ケージ内に底なし筒と底あり筒を設置しマウスが休息・睡眠の場所としてどちらを好むか観察したところ、底なし筒のみの場合は底なし筒を利用するが、底あり筒と底なし筒の両方を設置すると底あり筒の方を利用することが観察された。

【まとめ】
1, 日本国内に豊富な植物資源である竹の実験動物飼育資材としての可能性に着目した。
2,ケージ内飼育のマウスは竹筒を良く利用することが確認された。
3,特に金網床ケージ内飼育のマウスは竹筒を休息・睡眠場所、遊び場所として良く利用することが
     確認された。

4,マウスは竹を良く囓ることも確認された。
5,金網床ケージの場合、休息・睡眠場所としては節を残した有底の筒を好むことが明らかになった。
6,国内に豊富であり、再生力の旺盛な植物資源である竹は、実験用マウスの飼育環境豊饒化の素材として利用
     可能と考えられた。