ギムネマシルベスタによる遺伝性肥満ラットの高血糖抑制作用とリバウンド

柏木 明子1)、駱 鴻2)、柴原 壽行1)、山田 一夫2)

1)鳥取大学・生命機能研究支援センター・動物資源開発分野
2)鳥取大学・医学部・統合分子医科学

 現在、糖尿病は生活習慣病の一つとして社会的な問題になっている。その重要なリスクファクターとして過食による肥満が挙げられる。このため、食事制限と消化吸収コントロールが糖尿病治療の基本方針となる。
本研究の目的は、
遺伝性肥満ラットを用いて糖尿病を誘発する過食および肥満に対する安定的でリバウンドの見られないようなコントロール方法を探すことである。

 近年、ガガイモ科のツル性植物、ギムネマ・シルベスタ(Gymnema Sylvestre)の葉より抽出されるトリテルペン系サポニンの一種であるギムネマ酸が、ヒトの味覚において甘味感覚を選択的に抑制する効果をもつことで注目されている。今回我々は、このギムネマ酸投与後の高血糖抑制作用及び体重変化について、以下の方法で検討したので報告する。

 ギムネマ酸を飼料に62.5g/kg 、および水に2.5g/kgの割合で混合して遺伝性肥ラット及び正常コントロールラットへ2週間投与した。また、ギムネマ酸投与中止後、一般飼料を3週間与えた。

 その結果、ギムネマ酸により先天性肥満ラットの食餌量、血糖上昇、体重増加が抑制された。またその抑制作用はギムネマ酸の投与を中止したにも関わらず持続した。すなわちリバウンド現象は認められなかった。
その作用のメカニズムとしては、直接的に腸管吸収を抑制するだけでなく、糖尿病および肥満の重要な原因である過食症の抑制にも関連すると考えられる。したがって、ギムネマ酸は過食症のダイエットに適用でき、特に糖尿病、肥満のコントロールに役立つ可能性が示唆された。