高密度収容型マウス飼育装置について
          - アンモニア濃度測定法の検討 -

  ○広畑 剛,出森 豊,高元 剛,鍵山 壮一朗*,岡本 明*,石川 俊憲*,田島 優*,
    黒澤 努* (潟Aスク,*大阪大学医学部附属動物実験施設)

【目的】
 大阪大学医学部附属動物実験施設では,マウスの飼育量の増加に対応して高密度収容型マウス飼育装置を企画・製作した。しかし,ケージ収容数を増加するにあたりケージとラック棚板間のスペース,ケージ間のスペースなどが従来使用していた飼育装置に比べ狭くなった。このことが,ケージ内の飼育環境に悪影響を及ぼすのではないかと考えられたので,環境要因のひとつであるケージ内アンモニアガス濃度を測定することとした。しかし,新しい飼育装置では従来のアンモニアガス濃度測定法が使用できなかったので,測定方法を改良した。今回はその改良測定法の数値の妥当性を検証した上で,ケージ内アンモニア濃度を経時的に測定したので報告する。

【材料と方法】
 GASTEC社製のアンモニアNo,3L(検知範囲0.5〜78ppm)のガス検知管を用いた。改良法として狭いスペースを通して測定できるよう,長さ10cmと12.3cmのストローを検知管に取り付けた。床敷にはシェーファード社製ペーパーチップ(αドライ)を新ケージに50g,旧ケージに70gを入れた。所定の濃度のアンモニア水をケージ内に注入し床敷を撹拌した。ケージ前方の床敷より1.5〜2cm上に吸引口を位置し測定した。確認された改良測定法を用い,高密度収容型マウス飼育装置ケージ内アンモニアガス濃度を測定した。新ケージに2匹,旧ケージに4匹のマウスを収容した。所定の床敷を用いオリエンタル酵母社製飼料(MF)を給餌した。給水は塩素を添加し3ppm濃度としたものを自動給水した。各3ケージをケージ交換日後6日間観察した。

【結果と考察】
 ストローを用いた改良測定法は,従来の測定法同様の精度でアンモニアガス濃度を測定できた。改良法で測定したケージ内アンモニアガス濃度は4日目より旧ケージがより高い値を示した。すなわち,高密度収容型マウス飼育装置ケージ内のアンモニアガス濃度はとくに高くなることはなく,環境の悪化はなかったものと思われた。