床敷の選定及び量の検討 −パルプ等加工系床敷
 5種類のケージ内アンモニア濃度の経時的変化−

  ○丁畑勇一2),草場加奈子2),里見秀人2),橋村博2),梅田雅臣2),上田弘2)
                     ( 1)潟Pーエーシー,2)バイエル薬品 中央研究所 )

 
実験動物施設基準研究会による飼育室内アンモニア濃度の基準は、20ppm未満と定められているが、実験動物が直接接するケージ内のアンモニア濃度に関しては、明確な基準がない。今回、我々はケージ内アンモニア濃度を、飼育室内基準と同じ20ppm未満に目標を設定し、パルプ等の加工系床敷5種類についてアンモニア濃度の経時的変化を測定した。

[材料]
 使用床敷:ケアフィーズ(ハムリー)、テックフレッシュ(エデストローム)、ペーパークリーン(SLC)、アルファドライ(イーピーエス)、グリーントゥルー(アニメック)動物及び収容匹数:ICRマウス雌リタイア(約40g)4匹/ケージ
[方法]
 @ 各床敷25gを使用し、24時間後の吸水量を求めた。A 各床敷の1倍量は、この吸水量を基に(マウス4匹飼いで約1週間分の尿量120mlと推定)調整した。この方法で2倍量の床敷を入れたケージ(各5ケージ)を、2日目から1日おきに8日目まで北川式アンモニア検知管を用いて、ケージ内中央部のアンモニア濃度を測定した。平均アンモニア濃度が20ppmを超えた床敷に関してはその時点で測定を中止した。また8日目の平均アンモニア濃度が20ppm以下の床敷に関しては床敷量を減らして、2日目から1日おきに8日目までアンモニア濃度を測定した。
[結果]
 @ 吸水量の多い順にケアフィーズ、ペーパークリーン、テックフレッシュ、アルファドライ、グリーントゥルーであった。A 2倍量の床敷きでは平均アンモニア濃度が、ケアフィーズ4日目、ペーパークリーン6日目で20ppmを超えた。テックフレッシュは6日目でほぼ目標値に到達し8日目には40ppm以上と高い値を示した。アルファドライ及びグリーントゥルーは8日目でも20ppm以下であった。また床敷量を減らしての試験でもグリーントゥルーは1、1.5倍量とも目標値の20ppm以下を維持した。
[考察]
 今回の試験では、吸水量とアンモニア濃度との関係が相反する結果になった。グリーントゥルーは、半分量で他の床敷と同等もしくはそれ以上の、アンモニア濃度抑制効果が認められた。従ってグリーントゥルーを使用する事は、ゴミの削減・飼育管理等の省力化につながり非常に経済的である。床敷きは使い捨てされる製品であるが、グリーントゥルーは、他のパルプ系床敷とは異なる材質の、トウモロコシの芯を加工した製品である。これを使用する事は、環境に優しく資源の有効利用につながると考えられる。今後、居住性や併用なども検討していきたい。