医薬品GLPからみた動物実験施設管理・
          飼育管理の信頼性確保について


        医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構 GLP調査専門委員
                       田中 悟

 厚生省は,1982年に,「医薬品の安全性試験の実施に関する基準(以下,GLP基準という)」を公表し,翌年に施行した.その後1997年に,このGLP基準を一部改正して「医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準に関する省令」,いわゆるGLP省令を施行した.GLP基準が省令化されたということは,薬事法に基づいて,その遵守が義務化されたことであり,省令を遵守した安全性試験の実施が要求される.
 GLP(Good Laboratory Practice)は,製造物の品質保証(Quality Assurannce)の原理と方法を応用して,試験データの信頼性(質と完全性)を保証するものである.即ち,安全性試験の過程・要素のそれぞれの信頼性を確保することによって,最終製品である安全性試験データの信頼性(質と完全性)を保証する.
 安全性試験を計画・実施・報告する場合,動物の実験施設管理及び動物飼育管理は重要な基本的な過程・要素である.従って,安全性試験データの信頼性の保証において動物の実験施設管理及び動物飼育管理の一つ一つの信頼性を確保することは極めて大切である.もしも,ある過程・要素の信頼性に疑問があるということは,理論的には最終製品である安全性試験データの信頼性に疑問があることになる.
 医薬品の安全性試験における動物実験施設管理及び動物飼育管理に従事するものは,GLP省令を理解して遵守し,科学的・技術的に適切な標準操作手順書に従って操作管理して記録(生データ)を取り,その記録を最終報告書に反映させて,保存することが大切である.
 GLPは規制目的をもったものである.しかし,規制という面にとらわれすぎたり,規制だからやむを得ないと考えることは,お仕着せのGLPとなり,GLPの形骸化につながり危険であると考える.
 GLPはむしろ,科学者の良心といった基本的精神を育む趣旨のものであり,一人一人が試験データの信頼性(質と完全性)の向上に努める方向性が大切であると考える.